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篝火14におけるキービジュアルのデザイン:CGとグラフィックの共創

Kurotei

Interview - 2025.12.10

はじめに

篝火14、お疲れ様でした。終えてみての感想を教えてください。

Akabane はい。そうですね。まずはよくここまで何か熱量だけで走り切れたなという気持ちですね。あとは僕自身が篝火第1回から参加しているんですけど、学校卒業してからどういう関わり方をしようか悩んでいた中で、今回結構面白いことができたのかなという。気持ちです。

Kurotei ちなみに学校卒業されたタイミングってのは篝火のいつくらいですか。

Akabane 篝火12(の前)だったと思いますね。

Kurotei 確かに12は、おすしっくすさんが主導でしたね。ありがとうございます。僕の方としては、僕も本当にやりきれたなというか。 なんか本当に全部に手出して何とかできたなっていうのと、本当は篝火っていう大きな大会、日本を代表する大会でAkabaneさんとそれをずっとやっているAkabaneさんとできたのは本当に嬉しいなと思いつつ、何かもっとできたことあったよなとか、俺デザイン下手だなって思うところもあって。そうですね、後で言おうと思ってるんですけど引退するつもりって言いながら結局何か悔いを残している気もしなくもないというか。とはいえ大会やりきった感みたいなものは一番あったなって思ってます。

動機・コンセプトについて

篝火14に参加しようと思ったきっかけ、動機を教えてください。

Akabane はい。 14に関しましては、僕はもう普段から何かしらデザイナーとして関わっているんですけど、その流れで今回も参加させていただいたっていうのが大きいです。13回で結構思ったことが出来なかったのがバネになって今回14回、がっつり参加しようっていう。 意気込みで取り組ませていただきました。

Kurotei 僕の方は、そうですね。スマ納めっていうのが去年あったんですけど、そのときにデザインとマネジメントを意識してやって。そのときに結構課題があって、それを篝火13でマネジメントをメインでやってそれで解消できたんですけど、そのときはリードデザインというか、メインのデザインはしてなかったので。その両方をうまく 回して成功させるっていう場が欲しかったっていうのもありますし、さっき言った引退に対して篝火で最後に全力ぶつけたいっていうのがありました。ちょうどおすしっくすさんもお忙しいタイミングで、フタガミさんも別の案件で最初入れない時期があったりとかして、じゃあやるかというところでした。Akabaneさんもモチベがあったので、やってみようっていう感じで今回取り組んだところですね。

参加するにあたって前もって考えていた大まかな方向性やコンセプトはありましたか

Akabane 大まかなコンセプトというと、やはり篝火13がすごい、史上最大の人数で大成功で終わってから、あんまり時間も経たずに14回やりますっていうスケジュールで動き出してて。 さらに、篝火14の次の週にまたアメリカの方で大型大会があったりして、海外勢が来るにもちょっとスケジュール的にもちょっと都合があんまり良くなさそうだな、というのがいろいろかみ合って、13よりかは若干参加人数も落ち着くのかなっていうのは何となく何か大局観としてありました。 そのストーリーで、コンセプトとかを考えようとは思っていました。

Kurotei 最初のミーティングでその話ってしましたっけ?

Akabane そうですね、なんかふんわりした気がしますね。

Kurotei ですよね。僕の方は2個くらいあって、1個は がっつり文字でやりたいと思っていました。フタガミさんとか、すごいグラフィックデザイン上手いな、真面目な感じの中に遊びを入れるのが上手いなって思ったんですけど。僕は遊びを入れるのがあんまり上手くないなと思ってたので、がっつり正面のタイポグラフィ、文字で何かやれたらいいなと思っていました。最初ちょっとファッショナブルな感じのタグラインというか、ロゴを考えていたんですけど、Akabaneさんの考える方向性を聞いてたら違うかなと思って、そのまま使うことなく…というのはありました。

Akabane ファッショナブルですか。

Kurotei イタリックというか、何だろうな…雑に言うと、Supremeというか、ちょっと違うんだけど、ファッションっぽい文脈とかで何か作れたらいいなみたいなのは思ってたんですけど。なんかなくなりましたね。

最初のコピーは「情熱を焚べろ」ではなかったと聞きました。

Akabane そうですね。僕が皆さんチーム内に最初に共有させてもらったキャッチコピーの最初の原案が、「炎は奪えない。私たちが燃やす限り。」で、それを提案させてもらいました。

Kurotei コンセプトや考えるきっかけを聞いてもいいですか。

Akabane そうですね。 先ほど少し触れましたが、13回よりかは、どうしても参加する人数が少ないだろうなという中でも、選手として挑戦し続けるプレーヤーに何かエールを送る、みたいな。そういった選手視点のキャッチコピーを考えたいなと思って、最初の方はずっとその方向でChatGPTとずっと議論してましたね。

Kurotei なるほど。GPTはどのように使ったりとかしたんですか。

Akabane なんでしょう、炎から連想するものをモチーフとか10個教えてとか。結構雑に何かここから連想するものをいっぱい教えてみたいな、そういう0→1の部分をちょっと手伝ってもらってましたね。最初適当に作ってもらって、それが英語だったので、英語だとかっこ良さはあるけど伝わらないよなみたいな。その辺りを評価してもらったりとか。そういう議論を重ねて、そこからもらったフレーズとかを組み合わせて、「この炎は奪えない。 私たちが燃やす限り。」というコピーを作りました。

Kurotei 英語の方は「Burn it yourself.」で最初から最後まで一貫していましたね。

Akabane 英語の方違うコンセプトを考えてたりはしてたんですよね。最初は「The invisible hand, the visible fire」という。

Kurotei 「見えない手、見える炎」みたいな。

Akabane 「The invisible hand」っていうのは、よく経済学で言われる「神の見えざる手」、経済が勝手にいい感じに成長していくみたいな話になぞらえています。神の見えざる手が最終的に篝火のストーリーをいい感じにしてくれるよな、という。 毎回何が起こるかわからないけれど、絶対いつも篝火のTop 8とかDay 2にドラマがあって、毎回見ている人は感銘を受けている。だから、見えざる手によってプロットが書かれてるんだろうな、みたいなところにフォーカスしてたりとか。

Kurotei うん。確かに篝火ってなんだかんだいい感じになるっていう。ありますね。

Akabane そうですね。みたいなのも考えつつ、英語だとかっこつけには向いてるけど、受け手にはちゃんと伝わらないと思うので、最終的には日本語と対というか…

Kurotei Figmaの方には、日本語は叙情性で、英語は行動って書いてありますね。

Akabane そうだ。大事な方を日本語に持ってきて、英語の方はボーナストラック的なフォーマットで作ったりすることを、ChatGPTと話す中で考えたりしてました。

Kurotei ちなみにこの英語と日本語は日本語が先にあって、後に英語を作った感じですか。

Akabane 日本語が先ですね。

Kurotei 英語のキャッチコピーがDIYをモチーフにしているのは、英語コピーを考えてるうちに見つけた形ですか。

Akabane そうですね。DIYは別の軸で考えてたときに、いいんじゃないかと思って提案したっていう形ですね。

このフレーズを聞いた時、どのように感じましたか。

Kurotei めっちゃかっこいいなって思いましたね、本当に。最初のコピーを皆で練っていったんですけど、僕は最初のものがやっぱりすごい好きで。なんでだろうな。すごい気持ちが出ている文だなと思っていて、Akabaneさんからこういうメッセージが出てくるのって熱いなというか、新鮮だなと思って、それを使いたいなって思ってましたね。 英語の方もDo it yourselfに合わせてるところが、遊びがいがあるというか、いろいろできそうだなと。アイデアもその場ですごい浮かんできて、日本語の感情的な部分と英語の文字遊び的な部分で、すごい面白いなって思いました。

「この炎は奪えない。私たちが燃やす限り。」からどのように「情熱を焚べろ。この炎は奪えない。」に変わっていったのでしょうか。

Akabane この最初の案をチームの方々や、スマ納めで言葉周りを手伝ってもらっていたといはるさんに共有しました。全部ひとりで練り上げたものなので、絶対ブラッシュアップできるだろうな、という気持ちで皆さんと何回か会議させてもらって。そこで上がった懸念が、「奪えない」という動詞が結構受身だよね、というのがありそこをなんとか変換できないかと、といはるさんにいくつか案を広げていただきました。だったっけ?

Kurotei そうですね。 最初は何か「奪う」っていう単語が合ってないというか、誰が奪いにくるねんっていう懸念があったりとか、「私たち」というところが、篝火という団体から出るところに対して、主体的すぎるんじゃないかみたいなところがありましたね。

Akabane そうでしたね。今までの篝火のブランディングのところで。

Kurotei 今まで場として提供してるというか、自分たちを出していく所じゃなかったとこから、急に何か出てきたと捉えられるじゃないか、みたいなのがあって、それから消したりとか。「奪えない」って、(外に向けて)言いますか、みたいな話があったと思います。通話して、このモチーフがいいんじゃないかとか、 これは取っておきたいみたいなところを、お互い信念をぶつけた思い出がありますね。

Akabane ですね。

Kurotei 僕は、この「奪えない」って大事だなとやっぱり思っていて、そこは消したくないなって思ってたから、それを消させまいと話していた覚えがありますね。

Akabane そうなんすよね。 なんか、「奪えない」みたいな、強い動詞が捨て身の一撃感というか、力強いメッセージになっているなと思います。最終的には、「この炎は奪えない」は表向きには出さずにやろう、という形で進んでいきました。

Kurotei 私たちの部分を変えて、「焼べ、燃やす限り」とか、「情熱を燃やす限り」とか、「燃やす限り、炎は奪えない」みたいに逆にしてみたりとか。 いろいろあったんですけど、案が8、9くらいあって、見てるとだんだん混乱してきてくれて何が何だかわかんなくなってくる、みたいなのもありました。「情熱を焚べろ」になったのは、何があったんでしたっけ。

Akabane 最終的に好みの問題だよね、という話になって。(篝火の主催の)ぬくぬくさん交えて相談したら、これになったのかな?

Kurotei あと、句点読点どっちがいいかっていうのもありました。読点で繋ぐ案もあって、「燃やす限り、炎は奪えない」とかがあったんですけど。倒置法がやっぱりいいよね、みたいな。そこを何か区切りつける感がいいよなってのがあった気がしてて、それで「情熱を焚べろ」が一番しっくりくるんじゃねってなったんですけど、そこの詳細は僕も曖昧ですね…。多分、「私たち」という主体的な、こっち側のメッセージよりはプレイヤーに問いかける全体的な案になった感じはしますよね。

Akabane そうですね。どこ視点って話してるのみたいな議論はありましたね。

Kurotei あとは細かいところで言うと、「くべろ」という漢字が、正しくは「焼ける」の方なんですけど、わかりやすい方にあえてしよう、ということで「焚く」の方にしたり、みたいなところはあったりしました。

英語のキャッチコピーのソースに「DIY」を選んだ理由を教えてください。

Akabane 今まであまり言われてきていなかった気がするんですが、このスマブラコミュニティが公式から距離を置いて、インディペンデント的に成長してきて、大会も自分たちでやって、練習する場も自分たちで自分の家に友達を呼んで、ここまで大きくなってきたっていう部分がDIY精神と言われるものにマッチするんじゃないかなと思い取り上げた形になりますね。 あとは、頭文字をとったアクロニム(頭字語)がグラフィック的にも展開しやすそうだったので採用した部分もあります。

それぞれ、DIYをどのように深め、実際の形に繋げていきましたか。

Kurotei 僕から話した方がわかりやすいかな。僕はDIYの根源を調べたときに、戦後のイギリスにおける戦後の復興運動でDo It Yourselfという雑誌があったらしくて。それは自助的なコンテクストがあって、コミュニティ大会に通づるなと思ったんですけど、それ自体を何か形にインプットするのは難しいなと思いました。なので、一旦置いておいて。1960年、70年にアメリカに日曜大工のような形で、自分で作ってみようというムーブメントにつながっていったんですよね。そこで、もう少し象徴的なもの、デザインに取り入れられるものがないかなと思ったときに、Whole Earth Catalogに辿り着きました。僕が美大の授業で習った雑誌みたいなものなんですけど、地球上にあるあらゆるものをカタログ化するみたいなコンセプトで。DIYやコミュニティ大会に通づるところがあって、創刊者のスチュアート・ブランドが「主体性を人々に与えることを目的としていた」「受動的な人に能動的に動いて欲しいという思いがあった」と述べていたんです。なので、最初それを取り入れようと思ってそこら辺を調べたりしました。結果的にアウトプットのデザイン繋がったかというとあまり繋がってないんですけど、 そういう深め方って言うのかな。 なんか、時代感というか。 そうやって理解していった記憶があります。

Akabane 難しかったですね。DIYの言葉自体をデザインに落とし込むっていうのは。

Kurotei 最初はパンクロックの文脈をAkabaneさんがおっしゃっていましたね。紙の質感というか、手作り的なチラシとフライヤーみたいなところとかがありましたね。

Akabane ありました。 色が強すぎて、今までの篝火のブランディングとミスマッチしちゃったり、あとはスマ納めと色が被ってしまうんじゃないかという懸念が結構あって、Kuroteiさんにパンクロック以外のDIYをリサーチしていただいて、解像度が上がっていったっていう感じですね。

CGについて

今まで現実の舞台にフォーカスしたビジュアルはなかったと思いますが、今回くすのきホールを舞台にした理由はなんでしょうか。

Akabane そうですね…逆に、元々頭の中で会場や、写真をキービジュアルに使いたいなとか考えてた時期があって。

Kurotei それは今回じゃなくて前のときに?

Akabane そうですね、前にですね。 なんか、オフ大会の当日の緊張感みたいな、なんだろう。 表したかったと言う気持ちがあって。僕自身もプレイヤーとして参加してる時期とかあったりしたんですけど、5年前ぐらいになりますが。当時オフ大会に行くとなったら、電車に乗って、会場の最寄り駅に着いて、人がどんどん降りていって。 何か、降りていく人が全員大会に参加する人で、ライバルなんじゃないかみたいに勘ぐったりとかして。そこまでの道のりにすごい緊張感があって、普段の通勤通学する道と景色は同じなんだけど、状況が変わるだけで非現実な風景に見えるんだ、と言う体験がありました。なので、会場とか 現実の風景みたいなモチーフにビジュアルを作りたかった気持ちがあり、今回くすのきホールを使わせていただきました。

最初は火災報知器をモチーフにしていましたね。

Akabane はい。 最初は篝火という名前の大会ですし、炎自体をデザインランゲージに落とし込むのは第一印象で思いつく部分なんですけど、CGのテクニカル的な部分でも、なんか火のオブジェクトを拡張させたりするのは結構難しかったり。火ってそもそも、他に燃やすオブジェクトありきで燃えてる存在でもあるから、どういうふうな扱いをしようかなと考えていて。さらにコンセプトとかの議論も進めていくと、火とか篝火というのは、あくまで比喩的な部分であって。 何て言うんですかね。 会場で別に焚き火をするわけでもないし。 ただ、その古来の火まつりなどで人々が盛り上がっていた気持ちや現象を抽出して、今のスマブラに置き換えているという 解釈があって。直接的に火を使わない方向で何か面白いことをできないかと思っていました。そういうところで間接的に火があることを表現する手段として、火災報知器を思いつきました。 会場のキービジュアルのくすのきホールの中央の天井に赤いランプがついてる機械があるんですけど、それが火災報知機で。それが点灯してるんですけど、会場には火の元は全くなくて。 プレイヤーの情熱とか、そういった部分に反応して、火災報知器が点灯しているっていうストーリーを思いついて、火災報知器案を考えました。

Kurotei 最終的にはあんまり強くは出てこない形になりましたね。

Akabane そうでしたね。オブジェクト的にあんまりかっこいいものではないですし(笑)、隠し要素といいますか、結構ちゃんと読み込まないと出てこないぐらいの ディテールがいいなと思ってましたね。

CGにはくすのきホールをモチーフにしつつ、地面を這っている脈のようなものや、螺旋状のオブジェクトがみられますが、これは何をイメージして作られたのでしょうか。

Kurotei 特に最初の脈のオブジェクトは、トーナメント表のような要素はありつつも、気持ち悪いというか、生理的にぞっとするような…毛細血管みたいなイメージがあるな思いますね。

Akabane 最初に空中に置いているオブジェクトから説明すると、あれは螺旋多面体という特殊な図形をモデリングして、それをベースに作ったオブジェクトです。これはSNSとかの告知画像の背景でも使っているオブジェクトと全く同じもので、これは篝火のシンボルをどうにかうまくCG上で拡張できないかと考えてたときに見つけた図形でした。1個の図形が篝火の炎のストロークに近しいものもあるなと思い、繋げたり重ねたりして、デザインランゲージとして使おうと進めていきました。 CGの下に這っているオブジェクトは 元々トーナメントの形のモチーフのオブジェクトを作ろうと思って、CGで制作していたものです。だけど、もっと機械的な感じではなく、有機的な要素を加えたいなと思い今の形になりました。スマブラのコミュニティを何か表現しようと考えた時、抽象的ですけど公式からは離れてて、人が出たり入ったり流動性があって、不定型な形をしているだろうなと。有機的な形にしようっていうのを思いつきましたね。

Kurotei 募集情報とかの背景は何か、特に(画像)左のものはかっこいいけれど奥を覗いたらいけないんじゃないか、みたいな感覚があったんですが…僕がこじつけてるだけか(笑)。奥深さみたいなものを感じましたね。

Akabane ありがとうございます(笑)。 スライドの背景に関しては、とにかくコントラストを抑えながら、どうやってニュアンスをつけられるかをメインで考えて、形を作ってました。 左上に題名があって、左揃えで文字が入力されていくことを、ふんわり念頭に置きながらレイアウトを考えて制作していました。

Kurotei ありがたいですね。トランジションやトレーラーでこのオブジェクトが動いていましたが、螺旋多面体の方は動き方が特殊というか。 ぐにゅにゅって感じだったと思うんですが、それはインスピレーションがあったりしましたか?それとも、自然にって感じですか。

Akabane 道なりに動かしたらこうなった感じですね。螺旋多面体に関しては。

くすのきホール以外のモチーフや、くすのきホールの別の表現のアイデアはありましたか。

Akabane どうしてもCGなので、モチーフありきで作らないといけない部分があり。どうしようかな考えてたんですけど、一瞬思い浮かんだのは、Whole Earth Catalog最終巻の一番最後のページで、名言と一緒に添えられている写真があるんですけど、その写真の構図をオマージュしながら何かを作ってDIY精神に繋げようかなみたいなのとかを考えてたりしましたね。 なんだっけ、スティーブ・ジョブズが言っていた…「Stay hungry. Stay foolish.」ですね。でもこれにしてしまうと、そっちにつられちゃうかなみたいなのはあったりして。でも、面白いなとは考えていましたね。あとは、表紙にもなっている月の満ち欠けの要素とかは全然アリだなと考えてました。

CG全体の方向性はどのように作ろうと考えていましたか。

Akabane 全体的にはフォトリアルな表現にしつつ、ライティングであったり、あとは何か…絶妙な、テクスチャーのニュアンスみたいなので魅せるような絵作りをしたいなと考えていました。光や影をうまく使って、絵作りや世界観を作りたいなと進めていきましたね。

Kurotei CGで何か話し足りないこととか、これ言っときたいみたいなのありますか?

Akabane そうですね、なんだろう…キービジュアルの構図とかを参考にするときに、シン・エヴァンゲリオンのポスターをめっちゃ見てて。日常の建造物とか、そういうものをモチーフに、比喩表現とかメタファーをうまく使いこなしてるのでシンエヴァはかなり参考にしてましたね。この画像のものとかは、線路が環状線になっていて、比喩表現としてシンジくんの心の中がずっと堂々巡りになっているみたいな考察がよくあって。環状線から路線が左にずれることで、堂々巡りから抜け出せて、エヴァの呪縛からも解かれる。 それで最終回を迎えるみたいな話とかもちょろっと聞いたりして、いいなあと思ってイメージを膨らませたりしました。

グラフィックについて

グラフィックデザインの全体としての方向性やコンセプトはどういったものでしょうか。

Kurotei 今回は一言で書くと「ゴリっとする」というのをコンセプトにしています。最初に話したストレートなキャッチコピー、ストレートのメッセージングにストレートなデザインで応えたいなと思っていたので、 変化球というより直接的にストレートを投げ込むっていう、ど真ん中でいこうっていうのがコンセプトとしてありました。具体的には、かなり太い文字、フォントのウエイトだとか。 罫線使って「デザインしてるぞ」みたいな感じを出したいなっていうのが、方向性としてはありました。

どのようなところからインスピレーションを受けて、その方向性を決めましたか。

Kurotei これに関しては、最初Whole Earth Catalogを調べたんですけど。それを調べたときに、60年代後半のざっくりとしたアメリカのイメージみたいのを考えてたんですけど、背が低くて厚ぼったいセリフ書体というスタイルがあって、それはWhole Earth Catalogのタイトルだったりとか、わかりやすいところだとバーガーキングの書体みたいな感じがあったんですけど。それは何か合わなそうだからないなと思っていて。他のスタイルとして、太いサンセリフとか、詰まった組版というのがあって。それはLetrasetというツールの誕生によるものだと思います。Letrasetは透明のシートに黒い文字が貼ってあって、それを擦って貼り付ける、インレタ(インスタントレタリング)という道具です。日本でも、同時期か少し後に日本では写植(写真植字)が生まれて、写植やインレタが生まれたことで活字のときにはできなかった「詰めて組む」ができるようになって、太いサンセリフでギュッと詰めて組むっていうのが結構面白そうだなと思いました。また、僕の家にアイデアの310号があったんですけど、「日本のタイポグラフィ」という号で。そこでは1990年代ぐらいまでの日本のブックデザインがまとめられていて、そこには太いサンセリフやゴシック、コントラストがあるオールドスタイルな明朝体がギュッと詰めて組んであったり、逆にかなり開けた組版がありました。罫線もすごい頻繁に使っていて。めちゃくちゃ使うんですよね、罫線を。「それいる?」って感じの罫線まで使っていて、デザイナーのエゴじゃないですが、デザイナーが「デザインしてますよ」って言っているみたいな、自然さとはまた別の違う言語というか。 この我がある感じがいいなと思って、ちょっと取り入れたいなっていうのがありました。具体的には、宗利淳一さん、向井裕一さん、東幸央さん、杉下城司先生、府川充男さん、桑畑吉伸さん、杉浦康平さんなどをよくみていました。

フォントは自身が作ったものを使われているそうですね。

Kurotei はい。元々スマブラの制作にはずっとグラフィックデザインで携わってたんですけど、僕自身はグラフィックデザインのセンスというか、実力にまだまだ足りないところがあるなと思っていました。もっとうまい人もいるし、AkabaneさんがCGをメインにやっているように、僕も何か自分のExpertise、すなわち専門性を生かして関わりたいとずっと思っていて、どこかの大会で自分のフォントを使えたらいいなと考えていました。6月ぐらいから、最初は自分のプレゼンのスライドのために作ったフォントだったんですけど、Doppoというサンセリフ体を作っていて。それが今回合うんじゃないかなと思って、初回の日程告知のときに使ってみたら結構合ったので、今回それをがっつり使ってみようと思い採用したりとか。あとは、バリアブルフォントという太さなどのスタイルが無段階で切り替わる機能があって、それを映像で使えたら結構面白いんじゃないかとずっと考えていて、その辺りの融通が利くのもあり今回自分のフォントを使わせていただきました。
先ほど言いそびれていたんですが、全体の方向性で写植をイメージしていたんですが、写植のスタイルを見てみると20年ぐらい前の雑誌を想起させる感じなんです。僕や大成さんのような20代後半ぐらいの世代には、若干古臭くも見えるスタイルではあると思うんですが、逆にそれがスマブラのメインの年代層、つまり20前後の人々にはそれが新鮮に映るんじゃないかなと思ったりしていました。また、僕の書体はすごいシンプルで、写植の時代感に合ったもうちょっとクセのあるサンセリフ体とはまた違うと思っていて。シンプルなグロテスクにしたら、逆にすっきりとしたモダンな形に昇華されるんじゃないかなという狙いもありました。

Akabane フォントの話に戻っちゃいますが、フォントの開発とコンセプトとか、グラフィックデザインの作業を同時で進められてたってことですかね。

Kurotei そうですね。 篝火の作業が始まる前に、イタリックではない正体(ローマン)の普通の幅は完成していたので、それは使える状態でした。でも、大会中でCondensedやCompressedなどの幅の狭いスタイルも使いたくて、それらは全然作り始めたばかりくらいの進み具合でした。なので、日中のメインの仕事の時間としている7時間を書体に当てて、それが終わってから篝火の作業やるみたいな形で進めていましたね。

「情熱を焚べろ」「篝火14」は、全体のスタイルと大きく異なる明朝体ですが、そうした理由は何でしょうか?

Kurotei デザインにおいては、すべてゴシックかつウエイトもほぼ同じExtra Boldを使っていたので、それだとやはり全部並べた時に目が滑るというか、テクスチャーが同じすぎるなと思っていました。写植のデザインで特徴的なのが、ゴシックがメインで使われつつも、大きく明朝をキャッチや見出しに使うスタイルがすごい多いんです。それをキービジュアルでもできたらいいなと思っていて、そこで今回僕の先輩でAdobeの書体デザイナーの大成さんが入ってくださったので、書体を使うよりもオーダーメイドでお願いした方が良いと思いお願いしました。本人も結構モチベーションがあったので。「情熱を焚べろ。」を作ってもらって、いい感じにミックスできたんじゃないかなと思ってます。

画像やグッズの隅にモノグラムがいくつかありますが、これらは何をイメージされましたか。

Kurotei モノグラムは最初から使いたいと思っていました。今回の大会専用のシンボリックなものを作りたいなと思っていて。 前回フタガミさんが製作された火花のようなグラフィックや、篝火10のK#Xがあったと思いますが、そういったものを作りたいなと思って、BYIで色々と試しながら案を出していきました。いくつか案を出して、最終的に斜線を中心にしたスタイルに落ち着いたんですが…実際は使いづらい場面が多くて、グッズとかに入れるとちょっとテイスト合わないな、というところがあったので、追加でKGRB(篝火)やKXIV(篝火14)のレタリングを追加で作って、ポスターとか Tシャツで使った 感じですね。アイコニックなものを作り上げるのが難しくて、僕の実力不足を感じるところではありましたが、結果的にバリエーションが出たのでそれはそれでいいかなと思ってます。
ただ、KGRBという文字列自体が、全部アシンメトリックかつ4文字で結構難しかったのはあります。ちょうどその時、別の案件で資料として買っていたCounter-Printという出版社のMonogram Logosという本を見てリサーチしていたんですが、4文字かつアシンメトリックな文字だとやっぱり結構難しくて、そこをどうひねるか、みたいなところはトレーニングになったというか。大変でしたね。

CGのアイデアを見たとき、グラフィックデザインをするにあたってCGの要素を取り入れることは検討したのでしょうか。

Kurotei これに関しては、あんまりイメージはしないようにしていました。この生物的な脈や刺のようなオブジェクトを取り入れようかと最初は思っていましたが、シンボル的な要素やレタリングの要素で入れるのは難しいなと感じましたし、僕がレタリングが得意でもなかったので。高い品質の空間があるんだったら、そこにかっちりとしたタイポグラフィを載せたらもうそれでかっこ良くなるだろうから、逆に意識しないでタイポグラフィはタイポグラフィのコンセプトで走り切ろうと思って作り上げました。

キービジュアルについて

KVの制作はどのように進めていきましたか。

Kurotei これは各々作っていった感じですよね。最初にAkabaneさんがCGを作っていって、その間に僕はリサーチをして、何となく固めるというか。やっぱり背景ありきだと思ってたので、一旦僕は前半あまりKVに取り掛からずに、他の画像を作ったりとか、リサーチを進めてましたね。Akabaneさんはリサーチしつつ、ひたすらモデリングを練ってみたいな感じでしたか?

Akabane 最初はざっくりとした世界観、雰囲気をつかむために、仮のオブジェクトとかでプロトタイプみたいな作りつつ、こういう色がいいんじゃないか、暗部はこういうように転がしたらいいんじゃないか検証をしました。リサーチも行って、いいオブジェクトがあったらそのモデリングを始めて実際のシーンに組み込んでいく形で進めていきましたね。

Kurotei ありがとうございます。僕の方としては、最初にもっとデザインの方向性を固めたいなと思って、募集要項とか優先枠などの先に出さなきゃいけない画像があったので、先にリハーサルみたいな感じでデザインを作りました。そのときはリサーチは終わって方向性を固めてたので、構成を固めるために最初そういうのを作ったりして。Akabaneさんから背景があがってきてからはもうひたすら僕が文字を組んで載せてみてっていうのを繰り返しつつ、その裏でAkabaneさんがCGを練ってクオリティを上げていく感じでしたね。

最初はどのようにキービジュアルのデザインを出発させたのでしょうか。

Kurotei 最初画面を広く使ったデザインってかっこいいなと思っていて、一番上と一番下に文字要素とか入れたいなと思っていました。また、リサーチの途中で見つけた、『資料 マーク・シンボル・ロゴタイプ 1973→75』という本があって、その並列でタイトルを載せる感じとかが面白いなと思ったので、それを取り入れようと思って上下に乗せたりしてたんですが…いざその上下いっぱいに載せたとき、start.gg(スマブラや格闘ゲームの大会で使われる大会管理プラットフォーム)って、パソコンで見た時とスマホで見た時などの見る環境によって、バナーの上下がカットされてしまう仕様があるんですよね。なので、画面を広く使うことはできないことを思い出し、見える範囲で一番上と一番下に置くところからまずはスタートしましたね。 デザインは「篝火14」、日付、「情熱を焚べろ。」、「Burn it yourself.」を並列に並べる感じでまずはスタートさせて、同時に最初に作った仮バナーのデザインを踏襲したものを作ってみたりとか、あとはキャッチコピーを強く出すものを作ってみたりとかって感じで複数案を出して、始めていきました。

最初に上がってきたラフを見たとき、どのような感想を抱きましたか。

Akabane 最初に募集要項のスライド画像を作っていただいてて、そのときはレイアウトの組みのきちっとした感じとか、 キチキチのレイアウトの緊張感がそのままキービジュアルに反映されてて、いいなっていう。そういう気持ちになりましたね。

お互いの作業過程を見てて思ったことはありましたか。

Kurotei 僕はAkabaneさんのを見てて、「これ以上どこを良くするんだ」みたいな感じというか(笑)。「一旦これで」みたいな感じで出てきたものが既に僕には十二分すぎるように見えて、「クオリティラインに到達できるようにもうちょっとクオリティ上げます」みたいなことをおっしゃっていたと思うんですが、これ以上どこが良くなるんだろう、みたいなことは素人として思っていて。プロフェッショナルのこだわりだなって思いましたね。

Akabane (笑)ありがとうございます。当時はある程度な形にはなりつつ、試したい部分とか、細かい ディテールが同じCGデザイナーの視点からすると、手を抜いてるなって見えてしまうかもな、みたいなポイントを照らし合わせながら、磨いていった形ですね。
Kuroteiさんの作業過程を見てて、そうですね…僕自身もCGをやる前は、グラフィックデザインをかじってた側なんで、体験として何かわかるんですけど。案の試行回数を回すスピードとか、あとはバリエーション出す速さとかがやっぱりプロのスピードだなっていう。 僕なんかじゃ絶対この感じで案出しとかできないなっていうので、やっぱプロの方はすごいなっていう。 あとは、リサーチがやっぱり印象的でした。 Kuroteiさん自身も大学とかで古典とかを学ばれているような印象があるので、そういうところから持ってくるようなリサーチがすごい印象的で、自分にないのですごい見習いたいなって部分でしたね。

Kurotei ありがとうございます。そうですね、数に関しては僕も迷走というか、1個で行くっていう勇気があんまりなくて。数出せばどれか当たるみたいな気持ちもなくはなかったというか、とりあえずいろいろ出してみようって感じで最初は作っていったところはありましたね。でも、そこでどれがいいか悪いのかがわかんなくなってきちゃう、みたいなこともやっぱりあって。とりあえずいろんな方向を作って、それを今回客観的に見てくれる大成さんとAkabaneさんがいたので、2人に見てもらうのが一番いいんじゃないかなっていう。責任感がないかもしれないんですけど、そういう感じで数を作ったってのはありましたね。
古典に関しては、そうですね…僕は逆に、今のものからのリサーチが得意かというと、そうでもなくて。インターネットというリソースはあるんですけど、本とかのリソースは(住んでいる場所の関係上)あまりなかったので、今あるもので探したときに、古典がちょうどはまるんじゃないかというか。 文脈をこじつけるじゃないですけど、ちょうどいい資料が手元にあったというところですかね。確かにWhole Earth Catalogとかに関しては、授業で習ったところだったので、そういうのは生きたかもしれません。

キービジュアルが完成した時はどのような感想でしたか。

Akabane 決まった瞬間は一段落という気持ち半分、他のタスクとかもいろいろあって、「やりきった〜」みたいな感じではなかったのは覚えてます。逆に、当日会場に行って、グッズとかが会場に届いていて、それ見た瞬間に何か、自分が作ったものが展開されてるという達成感みたいな。当日の方が大きかったですね。

Kurotei なるほど。僕の方は、KVは本当に最後は詰めの詰めというか、本当に細かいところをいじってる感じで。これ以上どうするみたいなところはあって、何か半ばこれで終わってくれみたいな。終わらせてくれ、みたいな感じを抱きつつ、「これで完成にします」って言ってチャットに送った気がしますね。

Akabane 最後にどのレイアウトでいくか最終決定する時は、僕も結構他責な部分がありましたね…

Kurotei いやいや…(笑)いくつかあったんですけど、最終的にどう決めたかな…僕の中ではこれがいいし、この案で行くならこれ以上練るのは無理というか、もう迷路だなと思ったところで、終えたというか。なんか、「何とかなれ」みたいな感じだったかもしれないっすね。こんなこと言っていいのかって感じですけど(笑)。あと、KVデザインの出発のところがあんまり語ってなかったので付け足しておくと、完成したKVでは文字にグラデーションをつけているんですが、これは最初の告知画像のときからグラデーションをつけていて。スマブラ全体のプレイヤーが減りつつも、世代交代が起こっている所や新しい人が入ってくる所を、世代が混じり合う感じでグラデーション使って、効果的に見せられたらいいなと思っていました。かつ、グラデーションがあることで「篝火14」というタイトルと、「情熱を焚べろ。」というキャッチコピーを分離をできると思っていて。 太さがかなり似ているので、白だと上下のテクスチャーが近くて滑ってしまうところを、色をつけてコントラストを追加しようと。また、最初は左右の長さが一緒だったんですけど、これも一体として見えすぎてしまうところがあったので、最初に目が行くフックとなるポイントをつけたいなと思って、上段は左に、下段は右に空間を作って、フックになるような、太めの罫線を入れてみようという感じで、アシンメトリーな感じにしたっていう。

キービジュアルを作り上げていくにあたって難しかったことや、終わった後に課題として感じることはありますか。

Akabane やっぱりデザイナー1人でCGの検証、試行回数を回すのにかなり上限があって、それをあんまり計算せずにやっていて、最終的に「こういうのできたかも」というのもあったり。1人でやってるからしょうがない部分もあるんですけど、もっとキャパがあったらそれだけクオリティも上げられただろうなっていう後悔とかがありますね。あと、螺旋多面体の拡張性とか、ポテンシャルをうまく使って、アニメーションとかもっと検証したりできたなという部分はずっと思ってますね。

Kurotei ありがとうございます。 僕の方としてはデザインのうまさみたいなところで。僕も展開性は課題に思っていて、グッズのポスターとかTシャツにも使えるかなと思っていたんですけど、いざ使ってみると思ったより合わないなというところもあったりとかして。作った先の拡張性を見据えられなかったのは課題だなと思っていて。結果としてボツ案で作ったKagaribi 14を大きく使っているものとかを、トランジションやオープニング、カウントダウンで使ってもらっていたんですけど、それって暗に答えが出てるというか。そちらが使いやすいってなっちゃってたな、というのがあったので、そこはstart.ggのバナーしか見てなかった僕の課題というのがあって。
デザインを作る上でも、キャッチコピーを押し出しすぎたなというのもあるし。それは何故かを考えていくと、大成さんにレタリングをお願いしたことで「ちゃんと全部使わなきゃ」みたいな気持ちが出てしまった のかな、みたいなところがあったりとか。勝手に謎の忖度をしてしまったというか。全部出さなきゃ、全部見せなきゃ、みたいなエゴがあったのかなというのは後々振り返ると感じています。そういうところは課題というか、見せ方というか。 冷静に作っていくこともできたんじゃないかなと思いますね。あくまでかっこいいものを作ることが目的なわけで。
Akabaneさんの想定よりも「情熱を焚べろ。」を今後使っていくことになったので、そこの擦り合わせというか。最初の方は言葉で話していたんですけど、後の方は物を見せて、「どれがいい?」みたいなコミュニケーションをやっちゃってたから、もっと言葉のコミュニケーションをすべきだったのかもしれないとは思いますね。

Akabane 動画で使いたいってなったら、このカットのタイトルだけ押し出したいってなったときに、KVの案で出してもらったものを使わせてもらったりとかしました。

Kurotei KVを作るとき、start.ggに訪れる人は篝火を知っているだろうという前提でデザインを作ったので、並列に並べたんですけど。映像などのインパクト、一瞬だと要素全部に一気に目を通すことはできないので、一つ目を引く要素がコントラストとして必要で。そういうところでKagaribi 14が大きく出てるのがやっぱり使いやすかったのかなと今は思いますね。 言葉にすると。

Akabane そうですね。

キービジュアルの後に取り組んだ制作物について

他にはどのような制作物に取り組みましたか。

Akabane 僕はCGのデザインで言うと、グッズを展開するにあたってのビジュアライズ部分の制作であったり、映像に展開するってなったときにアニメーションをバリエーションで作ったりとか。そしてオープニング映像とか、各種演出映像にパスする作業をやってましたね。

Kurotei オープニング(トレーラー)もやってましたよね。あれはコンテだけで、エディットはやってない感じですか。

Akabane エディットはやってないんですけど、最初の案というか、冒頭と最後の展開だけ僕側からリクエストして、あとはおまかせっていう感じでやっていただきましたね。

Kurotei 僕はグラフィックのものは全般的にやっていて、SNSに出ている画像もそうだし、グッズ類のステッカーとか、ネックストラップとかポスターをやったりとか、リーフレット作ったりとか、リザルト作ったり全般的にやってましたね。新しく入ってくれた人や前回から引き続きでやってくれている人たちに、言葉にフィードバックしながらみたいな感じで進めてました。

作ったもののポイントを教えてください。

Kurotei 名札のビジュアライズからいきますか。

Akabane ビジュアライズに関しては、Twitterだと画質の問題でわかりづらい部分になっちゃうんですけれども、名札のビジュアライズを担当していて、名札の質感のニュアンスを実物に寄せようと。前回のプラスチックの名札と見比べながら、表面の凹凸のニュアンスとかを調整しました。

Kurotei 光沢感とか影がすごい強めに入っててよかったですね。特に影はかなり強めに入れていましたねもうほぼ黒みたいな感じで。

Akabane モックとかだと、ニュートラルなライティングにするのが主流だとは思うんですけど、ひとひねり入れたような陰影のつけ方をしました。クライアントワークではできない、篝火ならではでしたね。
オープニングの方はKVをちょっと動かしたんですけど、そのKVのシーンの中で、くすのきホールのステージの奥の方に影絵的にキャラクターを配置して、キャラクターが戦っているように実は見せていて。オープニングの方では前回の決勝の2人、あcolaくんのスティーブの空後と、らるくんのルイージの空前をしている影が近くまで寄ったら見れると思います。

Kurotei 僕の方は…そうですね、やったものが多いので難しいんですけど…全体としてデザインのコンセプトを一貫して通せたっていうのはすごい良いかなと思っていて、グッズとかリーフレットを特に頑張ったんですけど、Tシャツやポスターはシンプルにかっこいいものを正面から作ることができたかなと。CGを生かしたいなと思っていて、TシャツはAkabaneさんがCGを独自にレンダリングしたものを作ってくださって、めちゃくちゃかっこよかったので、そのまままっすぐ文字を置いたものを作って、すごい評判も良かったのでそれ嬉しかったです。ポスターの方も、特別に縦向きのシンボルが置いてあるCGを作ってもらったんですけど、それもまっすぐKagaribiという文字列を置いて、会場に貼ることができてよかったなと思ってます。 このCGがすごい良かったので、リーフレットの表紙にも使わせてもらって。リーフレットの表紙が結構いい感じになったのでそれも満足といいますか。
もう、背景が良かったらシンプルに文字を置くだけでいいなっていうのができたので、よかったなと思います。 物として残るもの作れたからよかったなと思っていて。
あとは、アーティストステッカーを作ったりとか。グッズの担当のShiragiさんといろいろ話したり、交渉というか、「こういうのをやりたいんですけど」って話して、無理のない範囲で話し合いをしながら、やりたいことを押し通せたのは、今回コミュニケーションを取るようにしていたのもあって、賜物だなと思いましたね。ステッカーは僕はあまりレタリングの時間がなくて、フォント単体で作ったんですけど。最初にBurn it yourselfのコンセプトを聞いた時に思った、 要素をスワップするみたいな表現、Do it yourselfという根源をちょっと隠しネタ的に入れたりとかできたので、大会全体のディレクションっていうやるべきことと、自分が一デザイナーとしてやりたいこと両方をやりきれたのが、良かったのかなって思いますね。

おわりに

今回2人でキービジュアルを作ってみていかがでしたか。

Kurotei 僕がデザインをやるとき、他の大会、西武撃とかでは背景って探してきた素材を見繕ったりとか、自分の写真をいじったりだとか。スマ納めに関してはSqkurqさんに簡単なCGを作ってもらって、それを使ったりとかしたんですけど。やっぱりがっつり作り込むのを一緒にやれるっていうのは、すごい嬉しいし 楽しいことだし、本当にそれがいいものだったら、ただシンプルな文字を載せただけで美しいというか、かっこいいものができて。各々が頂点になっている多角形の一番大きい状態みたいな…なんて言えばいいんだろう(笑)。それぞれの方向に全力を出して、最大面積だったんじゃないかという感じがしていて。大成さんもレタリングしつつ意見をくださったんですが、「ここはこだわりなんですよ」と思ったりするところもありつつも、自分だけでやってると迷路に入っちゃうというか、良し悪しがわかんなくなってくるところもあるので、そこのアドバイスをもらいながらできて、やっぱ人とやるってありがたいなって感じました。 僕はこんな感じです。

Akabane ありがとうございます。 そうですね。やっぱりCGのデザインっていうと、昨今業界で見るものとかは1を10にするような制作物とかが多くて。ライブの演出映像とかMVとかで使われるような。CGデザインをもっとブランディングの上流で何かやれたら面白いだろうなっていうのがあって、それを今回実現させてもらえてすごいありがたかったですね。お互い違う役職でリスペクトを持ちながら、コンセプトの部分からちゃんとお互いやることをやりながら、練り上げていく感覚っていうのは… 何て言うんすかね。 今まであんまりなかった体験で、すごいやってて楽しかったですね。

今後やってみたいことを教えてください。

Kurotei 僕は引退したいという動機があったので、やりきったなと思っているんですけど。やりたいこととはちょっと違うんですが、僕が結構システムというか、進め方みたいなところも力を入れていて、タスク表をつくったりとか、Figmaでコンポーネントを作ったりとかをしてたので。これを一緒に1年とか3年くらいやってきた、ふぁーむくんやツッペさんとかが今後メインでやっていくことになるにあたって、どうなるのかが楽しみっていうのはあります。
あと、今回映像のデザインにはあんまり関わりがなかったんで、そこは心残りとしてあるので、そういうところで専門性を掛け合わせて、頑張ってみたいなっていうのはありますね。 紙のリーフレットはよかったので、また紙モノを次とかでも作れたらいいなとは思ってます。そんな感じですね。

Akabane 僕はCGの作業に関しては、最初のKVを作るフェーズはワンオペだったので、もっとソフトウェアのパイプラインとかちゃんと考えて、CGのデザイナーをもっと呼んで、いろんな人を巻き込んで、スケールが大きいものを作れたらいいなと思ってます。

Kurotei これで質問は全部ですかね。改めて、お疲れ様でした。

Akabane はい。ありがとうございました。

大成さんから

「篝火14」「情熱を焚べろ。」のレタリングを担当し、KVのフィードバックも行った吉田大成さん(Taisei)にも感想をいただきました。

KVに関わることになった経緯と、「情熱を焚べろ。」「篝火14」を作った際に考えたこと、イメージしたコンセプトはなんでしょうか。

Taisei 今回AkabaneさんがKVのコピーやキーフレーズを固める段階で、文字制作部隊として誘っていただきました。KVにはサンセリフ体のDoppoが使用されることが決まり、それと対比を出すために明朝体ベースの文字で篝火14のキャッチコピーを制作する流れになりました。
決定したキャッチコピーは「情熱を焚べろ。」。今回の篝火のコンセプトにぴったりだと思いましたし、これ以上ないほどかっこいい言葉で、作る前から楽しみにしていました。
作ったのは縦線と横線の太さのコントラストが強めのデザインの文字でした。文字同士の間隔や、各文字の構成要素をスレスレに接近させることで、実力が拮抗した選手たちの戦いの緊張感や、内に秘める静かな炎の熱さを表現しました。
線の交差部分は写真植字の印刷のようにぼやけていて、文字全体を通して内なる熱が滲み出ているような空気感が出てくれればいいなと思い制作しました。
形ができてからは、線の交差部分に赤いグラデーションを入れてみたり、1行ではなく2行で構成してみたり、いくつか実験的なアイデアがありました。
「情熱を焚べろ。」に加えて「篝火14」の文字もデザインしました。こちらは「情熱を焚べろ。」を制作したときのデザインの構成要素を使ってノリで作ってみたものが始まりです。
ノリで作った「篝火」を見たKurotei氏が「KVで使いたいので数字の14も作ってほしい」と言ってくれたので、こちらも「情熱を焚べろ。」と同じコンセプトでKV用にブラッシュアップしました。

実際にさまざまなところで使われて、使われ方をみて感じたことはありますか。

Taisei 制作した文字が実際に使用される場面を見るのはいつでもワクワクドキドキします。スマブラというコンテンツはスタッフのみなさんと同じく、自分にとっても特別なものなので、篝火の会場で見たときの喜びは一層大きかったです。特にTOP8のアタック映像や、配信画面で映ったときは嬉しかったですね。
KVの日本語部分の「情熱を焚べろ。」「篝火14」ですが、大会が終わって1ヶ月経った今、改めて見るとDoppoで組まれた「Burn it yourself」「Kagaribi 14」と同じ画面にいると印象が薄いですね。
結果として同じ意味の英文と並列関係でもなく、サブというほど差があるわけでもないものになっているように思います。日本語の文字の立ち位置をもっとはっきりさせてから本格始動するべきでした。ここは個人の反省点です。

僕とAkabaneさんのKVの制作過程を見て思ったことや、助言の時に考えたことなど

Taisei とにかく篝火のクリエイティブに対する熱量や責任感が大きい2人だと思いました。他のスタッフから見えないところでも、2人ともかなり時間をかけて全体の設計から細かい制作までしてくれていたと思います。篝火の制作チームの士気が保てたのは、間違いなくこの2人が引っ張り続けていたからです。本当におつかれさまでした!
Akabaneさんの背景CG、Kurotei氏のフォントや自分の文字がある程度完成し、それをKVにまとめる制作の際に何度かフィードバックをしたことがありました。
スマブラコミュニティのクリエイティブの立ち位置は少々難しく、原則として無賃かつ本業以外の隙間時間に行われるものです。時間的(あるいは金銭的)リソースは限られており、原動力はスマブラコミュニティに貢献することへのモチベーションや活動功績などだと思います。
ゆえに自分の軸にあったのが「みんなでやりたいことやろうや!」であり、大きな軌道修正より今の勢いのまま、いい部分をよりよくして欲しいと思いながらフィードバックをしました。困難なこともたくさんあるけど、せめて前向きな気持ちで作っていてほしいなと考えていました。

ありがとうございました!(聞き手・話し手: Kurotei, Akabane)